「日本のサーカス展」を見てきました。

 愛知県の一宮市立豊島図書館で3月1日から25日まで開かれている、「日本のサーカス展」を見てきました。

 当サイトが「河合先生のマジック資料室」*1でたいへんお世話になっている、愛知江南短期大学の河合教授*2のコレクションです。以前同会場でマジック関連の展示*3をされていましたが、今回のテーマは「サーカス」です。

 「日本のサーカス」という言葉から、「海外のサーカスの影響を受けた日本のサーカス」というものを連想していたのですが、資料の中心は日本に古くからある芸についてのもので、「見世物」という言葉のほうがしっくりきます。仰向けに寝転がって足を上げ、その上にモノや人を乗せる「足芸」、同じく「肩芸」、綱渡りなど、バランス系が多いでしょうか。絵ビラからは芸人たちの息遣いが伝わってくるようで、中には「ホントにこんなことが可能なのか?」と疑いたくなるものもあり、自分の目で確かめてみたくなる。(作成者の思うツボですね。)

 館報の解説に「日本における最初のパスポートによる海外渡航は、日本の芸人たちでした」とあります。へぇー。当時、日本の芸は世界を驚嘆させるものであったようで、海外の新聞にイラストが載っていたりします。その後海外のサーカス団も日本に公演に来るようになり、それを取り入れていったようです。

 西洋の猛獣を使ったサーカスの公演を描いた絵がありました。おそらくサーカスで初めて「ゾウ」という動物を見た日本人の目にうつったのは、動物園の人気者とは似ても似つかない、黒々とした恐ろしげな生き物。その驚きぶりが伝わってきます。


 変わり種もいくつか。下の写真は「女大相撲サーカス団」とあり、女性が相撲をとっている絵が中央に大きく描かれています。いったいどんな見世物だったのでしょうか・・・。なかなかひかれるものがあります。当時の大衆もこぞって見に行ったにちがいない。

 

 あとは日本の古い資料で「ぼうのみ」という、いろんな長さの棒を飲み込む芸の絵があり、その説明に「『呑馬術』はトリックであるが、この芸はどうかわからない」といったことが書かれていました。呑馬術!かつてとある方に紹介していただいて読んだ、朝倉夢聲の「見世物研究」という本の中で、「馬を呑み込む芸」としてイラスト付きで紹介されていて、ともかくその怪しく魅惑的な発想にひっくり返った覚えがありますが、こんなところでまた出会うとは・・・

 私はマジックに限らず芸事全般に興味があり、静岡や大須の大道芸のイベントにも顔を出したりするのですが、日本の伝統的な見世物をナマで目にできることは少ない。これまで見た中で記憶にあるのは、ジャグラーのマサヒロ水野氏が演じた曲独楽と、大阪の天保山の大会で見たガマの油売り(残念ながら芸人さんの名前を覚えていません)。前者は思ったとおり素晴らしくて感動した演技、そして後者は「こんなに面白いものなのか」と驚いた演技でした。今回の展示を見てそれらを思い出し、西洋のジャグリングもいいけど日本の伝統的な芸をもっと見てみたい、と思いました。